ハイエースって人気らしいけど、良いところばかりではないはず。デメリットはなんだ?
元中古車販売員で、国産高級セダン大好きな筆者が、こういった疑問にお答えします。
- ハイエースのデメリットを知ってから購入の候補に入れたい
- 乗っている人が感じてるデメリットが自分と同じか知りたい
- デメリットの解消法があるなら知りたい
- 元中古車販売員(3年勤務)
- 見た目はそこそこでOK、乗り心地にうるさい
- 車には快適性を求める
- 歴代の愛車は、90マークⅡ、20前期セルシオ、ワゴンR、120系後期マークX、10系後期アルファード、200系前期クラウンハイブリッド
では、いってみましょう。
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元中古車販売員がハイエースを買って感じたデメリット5つ
まずは、ハイエースを購入して感じたデメリットは以下の通り。
- 長距離運転後は腰が痛い
- 遮音性が悪い
- 狭い駐車場での乗り降りがしにくい
- 室温調整が難しい
- 盗難率が高い
順番に解説します。
長距離運転後は腰が痛い
ハイエースは乗り心地が悪い上に、よく揺れます。しかも長時間の運転となると、血行不良が起きて腰痛が起こりやすいと言われています。
さらに…
立っている姿勢なら体の重みが足へ分散されますが、座っている姿勢では腰に全ての重みがのしかかります。
その上、オートマチック車であることも関係しています。それは、左足を使わなくなったために、左足を折り曲げて楽な姿勢をとりがちで、体が少し左側に向いた状態になったりします。
そうなると左右対称な姿勢にはなりにくく、負担が均等にかからないことが腰への負担を強めます。
遮音性が低い
ハイエースは、内装パネル外すと鉄板むき出しだったり、薄〜いカーペット1枚だけだったりします。
もちろん遮音性は低く、走っていると風切り音は大きめ、ロードノイズ(タイヤと地面の摩擦で車の鉄板部分に共振する音)も大きくなっています。
当然ですが…
中で外の音が聞こえるということは逆も然りです。外にいると中の音も聞こえます。大音量で音楽を鳴らすと、外にまる聞こえになりますので注意してください。
狭い駐車場での乗り降りがしにくい
エンジンルームが前にせり出していないため、運転席の扉が通常の車より前にあります。そのため、ショッピングモールや立体駐車場の「柱のそば」に停めると、扉を開けるのに苦労します。以下の写真をご覧ください。
この写真でもわかるように、前席扉の位置と柱が完全にかぶっています。これは、紛れもなくハイエースの日常です。一方、乗用車はどうでしょうか。下の写真をご覧ください。
ご覧の通り、柱の位置は乗用車の扉の開け閉めの邪魔をしません。つまりは、柱の位置は乗用車に合わせて設計されているということです。
そのうえ…
ハイエースは運転席に乗り込む際に、毎回車内の取手をつかまないと乗り込めないのです。普通に苦労します。
室温調整が難しい
続いては、車の快適性においてはもっとも重要と言っても過言ではない空調についてです。ハイエースは、前席はグレードによってオートエアコン付きのものは多少マシですが、後席は空調の管理がマニュアルです。よって「放っておいても快適!」とはなりません。理由は以下です。
- ドア付近からすきま風が入る(寒い)
- 運転席または助手席にいると後ろの空気が流れてきて寒いまたは暑い
- お尻が熱い(エンジンがお尻の下にある)
- 2列目のエアコンは冷暖房がマニュアル操作で面倒
室温調整が難しいポイント①:ドア付近からすきま風が入る(寒い)
すきま風が気になるのは特に冬です。「なんか寒い…」←基本これです。どこからともなく寒い風が入ります。
室温調整が難しいポイント②:運転席または助手席にいると後ろの空気が流れてきて寒いまたは暑い
1列目だけしか使用していなくて、前席のエアコンだけだと、2列目以降の冷えた空気または暖かい空気がすきま風として前席に流れ込んできます。
室温調整が難しいポイント③:お尻が熱い(エンジンがお尻の下にある)
エンジンの上に席があり、そこに座ることになります。ハイエースの構造は以下の写真の通り。
広大な荷室を持つ代わりに、前席は本当に暑いです。
室温調整が難しいポイント④:2列目のエアコンは冷暖房がアニュアル操作でが面倒
現行タイプの乗用車ミニバンならほとんどが後席エアコンは自動です。ハイエースの後席エアコンはマニュアルですのでセルフサービスです。
効きは結構いいのでその点は便利ですが、すぐに寒くなったり暑くもなりますので、結局再操作しないといけない点では快適とは言い難いです。
盗難率が高い
不名誉なことに、ハイエースの盗難率はワースト上位の常連です。以下はその資料。
言い換えればそれだけ人気で需要があるとも言えます。しかし、盗まれる危険性を常に感じて所有していかないくてはならないのが、心配性の方にとっては苦痛でしかありません。
デメリットを解決する対策5つ
では、そのデメリットを解決する対策を順番に紹介します。
デメリット | 対策 |
---|---|
■長距離運転後は腰が痛い | ・姿勢の改善 ・クッション ・こまめに休憩を取る ・シートをつけ替える |
■遮音性が低い | ・防音/遮熱/静音加工 ・ドアの縁についているゴム部分に水槽用のゴムチューブを入れる |
■狭い駐車場での乗り降りがしにくい | ・遠くても車が少ないスペースに停める |
■室温調整が難しい | ・ドアの縁についているゴム部分に水槽用のゴムチューブを入れる ・リアエアコンの電源を入れる ・ブランケットなどを使って体温調整をする ・遮熱加工をする ・リアクーラー/リアヒーターコントローラーを後付けする |
■盗難率が高い | ・社外セキュリティーをつける ・スマートキーを電波を遮断するケースなどに入れる |
一つずつ説明します。
【長距離運転後は腰が痛い】の対策
腰痛対応は以下の4つ。
- 対策1:姿勢を改善する
- 対策2:クッションを挟む
- 対策3:こまめに休憩を取る
- 対策4:シートをつけ替える
対策1:姿勢を改善する
すぐできる対策としては、運転姿勢を改善するだけでも、かなり軽減できます。以下を意識してみてください。
- シートに頭と背中がしっかりくっつくように座る(体の接地面を大きくする)
- 猫背にならないように座る
- 左足がフットレストにしっかりのるようにする
- ハンドルを回しても肘が伸びきらないようにする
対策2:クッションを挟む
腰回りの負担は、クッションを入れるのもおすすめ。腰とシートの隙間をうまく埋めてくれるものは、腰への負担が減り効果的です。
以下、Amazonで売れ筋ベスト3をご紹介しておきます。
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対策3:こまめに休憩を取る
目的地へは、一気に行きたいこともあると思います。そこをグッと我慢して、体を労ってあげてください。ストレッチと水分補給で、旅先での体調も変わってくると思います。
対策4:シートをつけ替える
純正のシートじゃダメなの?!と思われたかもですが、スポーツカーなどに装着されているようなシートに替えるのもありです。ホールド感が増し滑りにくく、負担が減り疲れづらくなります。
特にハイエースを仕事で使われている方なんかは、長距離を乗られることも多いためか、スポーツタイプのシートに替えている人が多い印象です。
【遮音性が悪い】の対策
遮音性の対策については以下の2つがあります。
- 対策1:防音/遮熱/静音加工
- 対策2:ドアの縁についているゴム部分に水槽用のゴムチューブを入れる
対策1:防音・遮熱・静音加工をする
「防音・遮熱・静音加工をする」というのは、「DIYで行う」か「業者に依頼する」かの2択です。内装の装飾物や内張を外したりと、わりと大掛かりになりますので、手間と時間が必要になります。DIYも楽しそうですが、完成度を求めるなら、プロに依頼しましょう。
作業内容としては、内装の内張や装飾品、その他鉄板をむき出しにするために外さないといけない部品を、全部外します。
そして、車の鉄板に直接防音材や断熱材を貼っていき、元に戻す作業になります。
以下の動画は天井だけの施工ですが、分かりやすいので参考までに観てみてください。
対策2:ドアの縁についているゴム部分に水槽用のゴムチューブを入れる
「水槽に入れるゴムチューブ」を、ドアの内側の黒いゴムの部分に小さな切り込みを入れて、挿入します。
実際に私の車にも施しましたが、「ん?あー…静かになったな」レベルの変化です。
詳しいやり方は下の動画が分かりやすいので、観てからやってみるのもありです。
ちなみに私が購入した商品も下にリンクを貼っておきますので、試してみてください。
【狭い駐車場での乗り降りがしにくい】の対策
狭い駐車場での乗り降りの対策は、「施設の入り口が遠くても、できるだけ車が少ないスペースに停める」
以上です。運転席が他の車と比べて前方にある以上、柱のそばに止めたりすると開け閉めが困難になり、出入りが面倒になります。
【室温調整が難しい】の対策
室温調整についての詳細と対策は以下の通り。
詳細 | 対策 |
---|---|
ドア付近からすきま風が入る(寒い) | ドアの縁についているゴム部分に水槽用のゴムチューブを入れる |
運転席または助手席にいると後ろの空気が流れてきて寒いまたは暑い | リアエアコンの電源を入れる |
お尻が熱い(エンジンがお尻の下にある) | ブランケットなどを使って体温調整をする/遮熱加工をする |
2列目のエアコンは冷暖房がマニュアル操作で面倒 | リアクーラー/リアヒーターコントローラーを後付けする |
この章は細かいので、詳しく解説していきます。
「ドア付近からすきま風が入る(寒い)」と「運転席または助手席にいると後ろの空気が流れてきて寒いまたは暑い」についての対策
どちらも「すきま風」が原因です。すきま風には以下の対策が有効。
- 対策1:ドアの縁についているゴム部分に水槽用のゴムチューブを入れる
- 対策2:リアエアコンの電源を入れる
- 対策3:ブランケットなどを使って体温調整をする
対策1:ドアの縁についているゴム部分に水槽用のゴムチューブを入れる
1つ目の対策として、【遮音性が低い】の対策の章でもお伝えしたこのゴムチューブを入れる作業。密閉性が上がるので多少効果があります。
対策2:リアエアコンを作動させる
2つ目の対策として、人がいなくてもリアエアコンを作動させましょう。後ろの空気が流れてくるので、後ろの空気そのものを調整することで解決します。ガソリンは食いますけどね。
対策3:ブランケットなどを使って体温調整をする
3つ目の対策としてブランケットがあると最強です。古典的ですが。
お尻が熱い(エンジンがお尻の下にある)についての対策
エンジンの位置は変えられませんので、断熱加工しかないのが現状です。この断熱加工については、上の章で紹介した「【遮音性が悪い】の対策/防音・遮熱・静音加工をする」と同じです。
- 防音・遮熱・静音加工のDIYは要注意
- シートやカーペットをすべて外してから、断熱材を貼り付けていく作業ですので、手間と時間を要します。DIYが慣れている方だと大丈夫かもしれませんが、シートベルトの配線も外しますし、カスタムした車だと配線系は注意しないといけないことも多いです。
心配な方は、業者に依頼することをおすすめします。
リアエアコン操作対策
リアエアコンの操作がマニュアルで面倒だと感じる方にはおすすめの対策があります。様々な快適アイテムを取り扱うユーアイビークルというメーカーから出ている「リアクーラー&リアヒーターコントローラー」です。
こちらの商品は、自分で設定した温度になると、自動エアコンのオンオフをしてくれるという優れもの。
我が家の車にもつけましたが、「ほぼオートエアコン」で面倒な手動操作から抜け出せて快適です。
【盗難率が高い】の対策
盗難を防ぐ対策としては、最低限以下の3つを行っておくと安心です。
- 車両保険をつける
- 社外セキュリティをつける
- ブレーキロックをつける
- キーレスを電波遮断できる箱に入れる
順に説明します。
車両保険をつける
今現在、任意保険に加入している方は、車両保険に加入しているかを確認してください。入っている場合は、その車両保険に盗難補償がついているかも確認してみてください。
もし、「任意保険には入っているけど車両保険には入っていない」となれば、盗難にあっても保険はおりません。
いつ被害者になるかわかりませんので、ハイエースは盗難されやすい車種である以上、安心材料としてかけておくことをおすすめします。
社外セキュリティをつける
よく言われるのは…
「泥棒は面倒くさいのは避ける」ということ。つまり、盗むのに面倒くさい状況を作り出せばいいのです。
では、なぜ有料で高額なセキュリティーがいいのか。理由は泥棒が嫌がるように作られているから。あの手この手で盗もうとする犯罪者に対して、メーカーも創意工夫をしています。
セキュリティーの種類も様々、オプションを追加して機能を増やすことで、便利になることも多くなります。
その分高額になりますが、防犯レベルも上がるので、「安心をお金で買う」という感覚ですね。(もちろん高額なセキュリティーをつけたとしても、盗まれることはありますので、絶対ではありませんが)
何より…
「大きな音が鳴る」というのが一番の抑止につながります。プラスアルファでハンドルロックなど物理的なものをつけると「面倒くさい車」に拍車がかかります。(ハンドルロックはプロの手にかかれば一瞬で解錠できるとも言われていますが、ないよりはマシかなレベルです)
ブレーキロックをつける
その名の通り、ブレーキをロックしてくれるものです。物理的にロックしますので、とにかく鍵なしで外すのは至難の技。
ネットで調べるとたくさんの商品が出てきますが、評判が良くセキュリティ面でも優れている商品をご紹介します。
株式会社ビバリーオートが運営する、ブレーキロックジャパンというブランドから出ている「ブレーキペダルロック」。
参考動画はこちら↓
より詳しく知りたい方はブレーキロックジャパンの公式サイトをご覧ください。
キーレス(またはスマートキー)を電波遮断できる箱(または袋)に入れる
ここ数年、「リレーアタック」というスマートキーから出ている電波を傍受して、ドアを傷一つつけずに開けてエンジンまで難なくかけて盗む、という手口が一般化しています。
対策を簡単にいうと…
「スマートキーの電波を遮断する」ことができればリレーアタックは防げます。その電波を遮断する方法で一番手軽なのは、「電波を遮断できる箱や袋にスマートキーを入れること」です。
ちなみに我が家で使っている箱は以下の写真。家にいるときは玄関にスマートキーを置いてますが、電波が完全に遮断できています。理想は、出かけるときにも持ち運び用に電波を遮断できる小さなポーチがあると、なお良しです。
電波遮断ができているかの確認方法は、箱にキーを入れた状態(フタも閉じて密閉して)で車のそばに近づき、ドアの解錠ボタンを押してみてください。開けば電波は遮断できていませんし、開かなければ電波遮断できています。
現在は、この「リレーアタック」以外の手口も出てきていますので、「電波遮断しているからOK!」とも言えない状況になりつつあります。
ですので、常に新しい情報に対してアンテナを張っておくようにしましょう。
ここまで、ハイエースのデメリットと対策についてお伝えしてきました。では、ハイエースのメリットはなんぞやということになりますね。ここからはハイエースのメリットについて解説していきます。
ハイエースのメリットはこの5つ
ハイエースのメリットをサクッと5つご紹介。
- 運転視点が高い
- 荷台で車中泊できる
- リセールが高い
- 荷物がたくさん積める
- カスタムが楽しめる
運転視点が高い
タイヤの上に運転席があるので、着座視点が高いのが特徴です。とにかく見晴らしがいい。遠くまで見渡せるので、右折待ちなんかも奥の車がよく見えて安全です。
荷台で車中泊できる
元々荷物を載せる車です。荷台のスペースは170㎝の私が寝転んでも足がギリ伸ばせるくらい広いです。(2列目を倒せばさらに広くなり、足は十分に伸ばせます。)
ベッドキットを組んでしまえば、車中泊も可能です。昨今のキャンピングカーブームでベッドキットをつけている車も多く出回っていると思います。
リセールが高い
「リセール=再販」ということですが、人気なので中古市場でも引き合いが強く、車としての価値が落ちにくい車種です。
乗り換えるときに下取りとしての価値が高ければ嬉しくなりますよね。車としての価値を維持しているという満足感もたまらない。
荷物がたくさん積める
貨物車ですので当たり前ですが、しっかり積めます。
荷物の少な目の一人暮らしの引っ越しなら、ハイエースで充分積めちゃうかも。友人や家族に重宝されること間違いなし?!
カスタムが楽しめる
やっぱりこれが一番でしょう。社外カスタムパーツがたくさんあるのもハイエースの嬉しいところ。自分好みのパーツを足していくことで、使いやすくオシャレになります。
ただ、車検適合でない部品も数多く出回っています。公道で走行する際は、車検の適合範囲の部品かは購入前に確認することをおすすめします。
ドライブ中に捕まってしまうとなれば、せっかくの楽しい時間が失われるだけでなく、違反切符も切られてしまいます。ルールを守って快適なドライブを!
まとめ:運転の快適さでハイエースを選ぶのはNG。その代わり荷台の広さで夢は広がる
いかがでしたでしょうか。
ハイエースはあくまで荷物を積む車です。乗用車と違う不満はあって当たり前。
不満と引き換えに乗用車にはない広大な荷台があり、その荷台でたくさんの経験ができると考えれば、楽しいカーライフを送れると思います。
私的結論
- 遊び心やとっておきの経験を得るなら迷わずハイエース
- 乗り心地を重要視する方は、避けた方がいい(筆者は試行錯誤したが後悔した)
- 車内の快適性はカスタム次第だが限界もある
- 個性を求める(世界でたった1台のオリジナルカスタムカーを作る)のならハイエース
ハイエーサーより!皆さんに愛を込めて。この記事が皆さんのお役に立つことを心より願います。